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Rubykaigi2023

posted at 2023-05-21 18:06:00 +0900 by kinoppyd

去年の感想、会社の方のブログに書いちゃって自分のブログに書くの忘れてたんですよね。今年は書きます。

松本城

RubyKaigiがかえってきた

かえってきたというとやや語弊があって、2020年も2021年も2022年も、RubyKaigiのオーガナイザーの方々は急激な変化の中で完全オンライン開催や制限付きオンライン開催を継続してくれました。なので正確に言うと、2023年にやっと2019年以前のRubyKaigiに戻ることができただと思います。本当に頭の下がる思いです。

そんなこんなで2023年のRubyKaigiは、2020年に開催を予定していた松本でのリターンマッチが無事成功した感じでした。各種イベントも戻ってきて、特にアフターパーティーは凄かったなぁと思いました。

RubyKaigi2023

今年のRubyKaigiの大きなトピックは、Parser、YJIT、RBSという感じだったかなと思います。YJITはRubyの実行速度的な話ですが、ParserとRBSはともにRubyの開発体験の向上という文脈が背後に見えるような気がしました。特に、両方とも意識が向いていたのは不完全なコードのパースとエラートレランスであり、LSPなどの開発体験の向上を目指している印象を受けました。Rubyの開発体験の向上という話そのものは2021年前後からRubyKaigiでトピックとして出てくる話で、RBSであったりDebug.gemであったりIRBの話であったりと、様々な姿で出現していました。Ruby3の目標が3x3で実行速度の向上を主眼に置いていましたが、Ruby4ではよりモダンな開発体験ができるRubyが目標になったりするのかなと考えたりもしました。

もちろん、ParserのはなしもRBSの話も開発体験の向上だけではなく、Parserは現在のbisonを使っているCRubyそのものの課題に対する挑戦であったり、RBSはそもそもRubyと型の話でもありました(Keynoteはわりとエラートレランスの話でしたが)。普段自分のようなRailsを使う開発者は、あまりRubyそのものの実装の話に意識を向けないので、RubyKaigiに参加すると本当に皆さんのおかげでRubyが速くなって、使いやすくなって、すごいという気持ちにあふれます。もちろん自分もRubyそのものに貢献できれば良いんですが、Rubyを使った周辺システムに貢献をしているのであまり手が回らなくて……すまんなという感じです。

海外からの参加者が戻ってきた

RubyKaigiは、自分にとっては年に一度の英語を話す数日間なんですが、2020からはしばらく日本語だけで生活できてしまっていたので、今年は本当にRubyKaigiが帰ってきたなと言う感じがしました。海外からの参加者が戻ってきて、しかもアフターパーティーなどで話すと「初参加なんだよ」という人も凄く多かったです。

なんか若返ってる

「初参加なんだよ」っていう人は、海外からだけではありません。日本国内からの参加でも、初参加という人と多く話しました。大学生であったり、新卒一年目であったり、フィヨルド卒業生の人が多かったイメージです。それぞれ、先輩に引率されてという感じの人が多く、コミュニティの先輩方が頑張って若返りを担っていて素敵だなと思いました。引率者の方の多くは「RubyKaigiって結構技術的に難しい話とかも多くて半分も理解できないかもしれないけど、誰だって最初はそうだし、コミュニティに参加することだけでも体験してまた来年も来たいと思ってくれれば良い」というスタンスで、変な権威感を出さずに開かれた感じを出しているのが伝わってきました。この思いの連鎖が続いてくれればいいなと思います。ウチの会社も再来年に新卒0期目が入社すると思うので、彼らを引率して素敵なコミュニティを教えてあげたいですね。

これがカンファレンスだよ! と思う時

RubyKaigiに限らず、大型の技術カンファレンスだと絶対にあるんですよね、ネタ枠が。自分はこのネタ枠が大好きで大好きでたまらないので、よくいろいろな技術カンファレンスに行っていたのですが、ここ数年はそういうものも目にすること無く静かに過ごしていました。2021とかもPicoRubyとかいう凄いネタ枠(ネタ枠か? と言われると凄い技術を見せつけられているんだけど、その表現方法がキーボードという事でネタ枠だと認識している気がする、ネタ枠じゃ無いはずなんだが)もあったのですが、もっとこうサターンとかSwitchとか出てきて欲しいなと思っていたところ、今年はキックボクサーが出てきたので大変気持ちが満たされました。自分の中のベストスピーカー賞です。

ポータブルなParserへの期待

RBSが本格的に使えるようになってきた頃、自分はあまりRubyの中で型を書きたくない(推論して欲しい)派だったので、TypeScriptとJavaScriptの関係のようにRubyコードの中に直接型情報を書いてコンパイルするとRubyコードとRBSに分離してくれるType-Rという言語(Sorbetじゃん、と思うかもしれないけれどSorbetはRubyを書いているので、そうではなくRubyとしては文法的には通らないコードと型を同時に書ける別言語)をアンチテーゼ的に作ってみたいなと思ってたのですが、Rubyのパーサーのことを勉強するのが結構しんどいなぁと思っていたので、ParserがポータブルになるとRubyとは独立して手元で動かせて勉強がしやすくなりうれしいなと思っています。がんばるぞー。

気持ちのまとめ

RubyKaigiに参加すると、いつも「何か作らなきゃ」という強いエネルギーが生まれるので、今年は発散させずに何か形に残したいと思います。がんばるぞー。